矯正装置

矯正装置について

矯正歯科治療で使われる矯正装置は数多くあり、患者様それぞれの状態に合わせて最適な装置を組み合わせて使用していきます。
どのような装置が最適かどうかは精密検査を受けた後に最終判断させて頂きますが、初診相談の段階で、おおまかにどのような装置が必要になるかをお話しさせて頂いております。
ここでは、当院でよく使われている矯正装置の一部について解説させて頂いております。


スターター矯正の装置

歯列矯正用咬合誘導装置

上下顎の正常な発育を手助けし、永久歯の萌出位置を修正する役割もあります。
医療用樹脂で出来ており、子供が口の中に入れていても、口の中に傷が出来ないようになっています。
また、踏みつけてしまっても怪我をしないようになっています。
基本的に就寝時にお口の中に入れておく装置です。
非常に簡単な装置ですが高い治療効果を認める装置です。
治療効果をさらに高めるために、当院オリジナルの加工を行いお渡ししております。既成のままでは効果が出ません。
しっかりと効果が出る状態の装置をお渡しします。

歯列矯正用咬合誘導装置

小児期の受け口を改善させるための装置です。
プラスチック様材質で出来ており、硬い装置になります。
適切に使用することにより、上下顎の前後的なズレを改善し、受け口を治していきます。
材質の関係上、取り扱いには注意が必要です。
(踏みつけてしまったりすると、破損の可能性があります。)
既製品もありますが、当院では院内技工士が1つ1つカスタムメイドで作成しております。
各個人に合わせた状態の装置を提供しております。

家で装着する装置の一部

ヘッドギアー

上顎や上の前歯が突出しているような状態の時に使用されます。
太い針金と帽子で構成された装置で、太い針金を口腔内の装置とドッキングさせて使用していきます。
奥歯を牽引する方向により、帽子のタイプや首から引っ張るタイプなどを使い分けます。
初めは装置を装着することに慣れて頂き、慣れてきたら装着時間を徐々に増やしていきます。
装着時間が長いほど、装置の効果が出てきますので、可能な限りの使用をお願いする装置になります。

プロトラクター

上顎が陥凹な状態の時に使用されます。
いわゆる受け口の状態で使用して、上顎骨の成長を促進することにより骨格的なズレを改善する装置です。
この装置には2種類あり、左写真は簡易な装置のパターンになります。
状況に応じて簡易型・複雑型を使い分けます。
初めは装置を装着することに慣れて頂き、慣れてきたら装着時間を徐々に増やしていきます。
装着時間が長いほど、装置の効果が出てきますので、可能な限りの使用をお願いする装置になります。

マルチブラケット装置

メタルブラケット

昔から存在する皆様がよくイメージされる矯正装置です。
【メリット】
装置が壊れるという心配がありません。
基本料金が一番安いです。
【デメリット】
審美面を気にされる方にはお勧めできません。

ホワイトブラケット

針金が入る部分に金属が使用されていますので、多少金属色が見えます。
【メリット】
透明~白色の材料ですので審美面には問題ありません。
クリアブラケットと比較して安価。
【デメリット】
部分的に金属が使われているので人により多少気になる場合がある。

クリアブラケット

奥歯の装置以外は金属が使われていないので見た目が一番良いです。
【メリット】
強度はホワイトブラケットよりも高く、装置が壊れるという事は、ほとんどありません。装置自体が透明~白色ですので、審美面を一番に気にされる方には、こちらの装置をお勧めいたします。
【デメリット】
材料の関係上、基本料金がやや高くなります。

リンガルブラケット

最近では希望される方がほぼ居なくなりましたが、いわゆる裏側矯正と言われる装置です。(2014以降で希望される方は1人も居ません)
【メリット】
表側に装置を装着しないので見た目を気にすることはほとんどありません。
【デメリット】
発音や食事面で苦労することがあります。
個別製作の関係上、基本料金が一番高くなります。

どのマルチブラケット装置を使用しても治療のゴール地点は同じになります。見た目の違いと考えていただいて問題ありません。ただし、費用や治療期間などが異なってくると考えてください。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(アライナー装置)



マウスピース型カスタムメイド矯正装置(アライナー装置)は、最近流行りの矯正装置です。

「ブラケット装置を装着することなくアライナー装置を使用して治療を行っていきます」と案内していることを見ますが、ブラケット装置などの付加装置は9割以上の患者さんで必要になる装置です。

1日の装着時間は20時間以上で、食事・歯磨き・お風呂などの時間以外は装着したままになります。
どうしても外したいときには、自分の意思で装置を自由に外す事が出来、脱着が自由なのも装置の特徴です。
審美面を大きく気にされる方や、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(アライナー装置)というものに興味がある方にはお勧めの装置になります。

基本的に装置は基本的に1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。

なお、凸凹の状態や治療の内容などにより適用範囲外になる場合がありますので、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(アライナー装置)を希望される場合は、初診相談時に希望装置をお聞きしますのでお伝えください。適用可能かどうかご説明いたします。

なお、本装置のみで治療が完了する事は基本的に無く、一時的にブラケット装置などが必要になることがありますのでご了承ください。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビサライン)を調べると、よく「〇〇プロバイダーを取得しています」などと表記されている医院があります。これには、プラチナ・ダイヤモンド・レッドなど色々ありますが、正直これに何の意味もありません(メーカーも宣言しています)。

インビザラインプロバイダーはステータスランクの1つで、発注数が多くなると歯科医院がインビザラインへ装置を注文する際に技工料割引率が最大45%割引になるという制度であり、歯科医師の技量や治療結果を評価したものではありません。

最高プロバイダー(レッド)の場合、年間1000症例を発注すると獲得出来るものですが、実際に1000症例を1人の歯科医師で診察した場合、単純に3年間分を積算すると、月30日で1日8時間フルで診察したとしても、患者1人の診察時間は3~5分程度しか確保できない計算になります。
これで適切な治療を提供できると言えるでしょうか?普通に考えればわかることです。

初診時や矯正診断時にマウスピース型カスタムメイド矯正装置(アライナー装置)しか案内せず、ブラケット装置による治療の提案などがなかったり、ブラケット装置による治療実績があまりなかったり、一般歯科治療がメインの歯科医院では、希望通りに改善しない事がほとんどですのでご注意ください。

当院にも非常に多くの被害者が再治療を希望されて来院されます。日本矯正歯科学会でも注意喚起が出されておりますのでご一読ください【こちら】。

恐れていたことに、2023年1月には「インビザライン」による不適切治療で集団訴訟がありました。〇〇プロバイダーという名前だけで医院選びをしている方や、適切な歯科医院選びができていなかったりした結果だとも思います。「インビザライン」以外の方法だとどのような矯正治療をその医院では提供しているか、しっかりと聞くようにして下さい。他の治療方法(ブラケット治療など)を説明できない医院は基本的にお勧めできる医院ではないと思いますのでご注意ください。


*完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります

※注意してください!!

床矯正(しょうきょうせい)装置・拡大床について

矯正歯科治療で使われる矯正装置には数多くの種類があり、現代矯正治療では適切な矯正装置と、不適切な矯正装置が存在します。
どのような装置が適切で、どのような装置が不適切かは専門的に学んできた矯正歯科医師(*1)でなければ判断は難しいのが現状です。
当院で使用している装置は、適切に使用すれば治療効果がしっかりと現れるもののみを取り入れており、また、後戻り(*2)も最大限まで抑えられるものを使用しております。
『床矯正』や『拡大床』という言葉を見たり聞いたりしたことはないでしょうか?
子供さんの矯正治療について色々調べられている方は、見たり聞いたりされたことがあるかもしれません。
装置自体の外観はインターネット上で調べればいくらでも出てくると思いますが、入れ歯みたいな外観で拡大ネジと呼ばれるスクリューが埋め込まれていたりします。
このスクリュー部分を少しずつ回していくことにより「アゴ」を横方向に大きくしていき凸凹を改善していくと言われていますが、実際は「歯」を横方向へ無理矢理に動かしているだけで、正直あまり良い治療とは言えません。
矯正専門歯科医院(*3)ではなく、矯正専門歯科医師が治療していない場合によく利用される装置ですが、全国的に治療結果についてトラブルが非常に多い装置です。
実際に数年間頑張って使用していたという中学生が当院に来院されましたが、「歯」が横方向に拡がり過ぎて全体的にほぼ咬めない状態になっておりました。それにより歯の根が皮質骨(骨の表層にある硬い部分)にめり込みながら吸収されて根が短くなっていました。(その後、適切な治療を行いご両親も満足されるまで改善できましたが治療完了は成人式直前でした。無駄な時間と費用だったとご両親がお話されていました。)
矯正歯科治療は自由診療であり、この『床矯正装置』を1つ数万円で提供している近隣歯科医院も数多く把握していますが、正式な矯正治療よりも安価ということもあり、安易に飛びつく患者さんが多数いらっしゃるようです。
患者さん自身の選択ですので「自由」ではあると思います。
しかし、1つだけ覚えておいてください。
『床矯正装置』で、「なんちゃって矯正治療」を受けられていた方が、
「全く治らないけれど、このまま装置を使い続けて本当に大丈夫なのか?」
「この装置を○万円で買わされたけれど…」
「5年以上使ったのに、治療終了後すぐに後戻りしてしまった」
などと不安になって当院に専門的意見を伺いに来る方が後を絶たないという事実。
最終的に判断されるのは患者さん自身です。
不適切な治療に無駄な金銭を支払うことがないように気を付けてください。
 
*1:矯正専門歯科医師でも平然と不適切な装置を使用している方も居るので注意が必要です
*2:矯正治療開始前の状態に戻ってしまうこと
*3:矯正専門歯科医師が在籍していない一般歯科医院でも「矯正歯科」は標榜できるので注意が必要です
 
最後に、特殊な事例(*4)においては、ごく稀に床矯正装置が使われることはあり、全ての床矯正装置を否定するものではありません。
 
*4:口蓋裂などの先天性疾患や一部の歯列弓狭窄症など

PAGE MENU

矯正治療の流れ 矯正治療の時期精密検査矯正装置矯正治療費保険診療の適用Q&ATOP PAGE