歯と口の健康週間

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6/4〜6/10は歯と口の健康週間です。

健康な口腔内を維持するためにも、定期的な歯科医院でのチェックをお勧めします。

さて、最近の子どもさんで「先天性欠損歯」という歯の数が少ない症例が多くなっております。

最近の日本小児歯科学会の報告では、10人に1人の割合で先天性欠損歯が発生しているそうです。

子どもの頃に発見できると早期に対応できるためメリットが大きいです。

小学校入学後頃には、一度歯科医院で全体的なレントゲン写真(パノラマエックス線写真)を撮影して確認すると良いです。

当院にも先天性欠損歯の患者さんが多くいらっしゃいますが、精密検査で発見される事も多いです。

近隣歯科医院から、先天性欠損歯として治療依頼される場合もありますが、ここ最近は状況が変わりつつあります。

歯科医院や矯正歯科医院で、先天性欠損歯と言われたけど、どうしたらいいか・本当か・治療方法は合っているか等の問い合わせが多くなりました。

当院で実際に確認すると、先天性欠損歯があり適切な治療が必要な場合が多いですが、たまに先天性欠損歯は認められない場合があります。

そのような患者さんに詳しく話を聞くと、先天性欠損歯と診断した歯科医院で「今すぐ治療開始しないと大変な事になる」「ウチで治療すればちゃんと治せる」「特別な治療になるから通常料金より高くなる」など不安を煽ったり不適切な金額を請求されていました。

『欠損歯詐欺』なるものが横行しているようで、その手法をレクチャーする勉強会グループも存在するそうです。

先天性欠損歯があると言われると親として不安になり、何とかしてあげたいと考えるのは当然な事ですが、その不安を利用されてしまうことになります。

慌てずに、セカンドオピニオンとして他院(出来れば矯正専門歯科医院)で確認して貰い、治療方法などを説明してもらいましょう。

そして、金額や治療方法で納得できる医院にお任せしましょう。

必要があればサードオピニオンも利用してみましょう。

どんな治療にも、インフォームドコンセントが重要です。

インフォームド・コンセントとは、「医師と患者との十分な情報を得た上での合意」を意味する概念。 医師が説明をし、同意を得ること。 特に、医療行為や治験などの対象者が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で、対象者が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針において合意することである。[Wikipediaより]

医師側が、勝手に治療を進める場合には「おかしい」と考えたほうが良い場合があります。

特に矯正歯科治療においては、今すぐ始める必要性がある緊急性のものはそんなにありません。

相談すると同時に歯型取りをして、いわゆる『拡大床装置』を作成して「次回渡しますから○万円です」という手法も私からしたら詐欺同等と考えます。

勿論それに納得していれば良いですが‥。

通常、矯正歯科治療を開始するためには、頭部エックス線写真(セファロ)という横顔のレントゲン写真を撮影して、それを分析してどのように改善するか治療計画を立案してからでなければスタートできません。そのようなレントゲン写真撮影無しで矯正歯科治療が開始される場合は大丈夫かな?と考えましょう。

しっかり考える時間を与えないで治療をスタートさせられそうになったら、冷静になって考えましょう。

今は良くも悪くもインターネットで色々な情報を自分で調べる事ができます。正しい情報もありますが、間違った情報も多く存在しています。

正誤判別は難しいですが、間違った情報や治療が一般化されているものもあります。上記の「とりあえず拡大床装置」です。子どもの矯正歯科治療=拡大床装置と考えている患者さんも居るくらいで私からしたら無駄な事に大金出してるなぁ〜と思います。

これを読んだ皆さんが不適切な治療に遭遇しない事を切に願うと共に、詐欺同等の不適切な治療を行っている歯科医院が考えを改めてくれる事を願います。

※写真は先天性欠損歯4本と矯正歯科医医院で診断されてセカンドオピニオンで当院へ来院された患者さんのパノラマエックス線写真。実際は先天性欠損歯はありませんでした。故意・診断ミスどちらも考えられますが、どちらにしても歯科医師としては不適切なのは間違いないです。(個人特定防止の為にボカシを入れてあります)